「目標」
人生の目的を持ちましょう
お金を貯めるために一所懸命働いている人は多いです。海外旅行に行くことや結婚することが"目標"にあるのかもしれません。だから辛いことにも我慢できるし頑張れます。でも、目標には終わりがあって、実行に移されたときに完了します。一瞬の大きな喜びや感動を手に入れただけで終わってしまうのです。これから毎日、幸せと成功を感受するには、終わりのない人生の"目的"を持たなければなりません。この人生の目的が、生きる喜びと、苦難に立ち向かう勇気や忍耐力、それを乗り越えていくエネルギーを生みだします。
Dさんは28歳で美術系大学を卒業しています。
就職活動では、大手文具メーカーの関連会社の商品企画として採用されます。
Dさんは、昔から文房具が大好きで、ノートブックやシャープペンシルのコレクターです。
だから、文房具に関わる職場で働きたかったのです。
ところが、仕事は楽しいものの、Dさんが入った会社は男性優位で、女性はアシスタント的な役割しか回ってきません。
3年間がんばり、新商品の開発や後輩の教育に手腕を発揮しましたが、女性である限り、自分の昇進に限りがあると知り、Dさんは退職します。
その時点では、同期入社の中でDさんは一番業績を上げているといってもいいほど活躍していたので、惜しまれながらの退社となりました。
Dさんは仕事が好きな女性です。
本人もそれをわかっており、職場での目標をいつも掲げて奮闘してきたようです。
でも、目標が達成された瞬間、つぎの目標がないと、ぽっかりと心に穴が開いたような瞬間があったと振り返っています。
さて、Dさんの転職先は、学生時代のアルバイト先だった某外食産業の会社。
アルバイト時代に、アルバイトとしては最高職位についた経歴があったため、転職活動は比較的スムーズでした。
この会社では目標とする女性の上司がいますが、4年働いた現在、この先どこまで昇進しても、その女性を越える能力が自分には足りないと気づいてしまいます。
仕事も伸び悩んでいることは、痛いほど自分ではわかっていました。
転職の考えをその女性の上司に相談すると、「今の悪い状態で辞めるのは逃げだ!」と言われたそうです。
そこで、上司の助言で、キャリアアップのための社内研修も受けているとのこと。
良い状態で辞めることで、自分を育ててくれた人たちを落胆させることなく、また自分自身も納得できると思ったからです。
そして、社内研修を終えたら、この会社を辞めるか、続けるかをもう一度考えることにしました。
また、すぐ辞めるにしても、すぐには辞めないにしても、できる限り在職中につぎの準備をしたいと考えて、私のところに相談に来たのでした。
これまでの話からもわかるように、Dさんのキャリア志向は明確です。
また、相談の中から、結婚後も仕事を続けたいこと、独立心が強いこと、人の衣食住や日常の生活に関わることをしたいという希望が浮かび上がってきます。
自分の可能性を見いだし、これをやり遂げたという達成感も求めています。
そして、やっぱり、デザイン関係のことが気になっているようです。
今までにDさんがやってきた、つねに目標を掲げることは素晴らしいことです。
でも、目標が達成されないとわかったとき、また目標を達成してしまったときの空しさは、Dさん自身が一番よくわかっているようでした。
だから、今度はそんな思いをしないよう、あせらず人生の目的を決めなければなりません。
本当に好きなこと、興味の向くことをじっくり話し合っていくうちに、プロダクトデザインの仕事をめざすことで、Dさんの気持ちが決まってきました。
デザインの仕事は、女性であることが不利にならず、結婚しても続けられる仕事です。
うまく進めばDさんの思うような新しい人生の幕開けです。
相談のあと、会社の研修を終えたDさんは、退職を決めました。
そして、文具や家具などのプロダクトデザインの勉強をするために、留学を決意したのです。
Dさんの人生の目的は、"心地よい暮らしを送りつづけたい"です。
それは成し遂げられると終わる目標とは違い、終わることのない、ずっと続く人生を彩る目的なのです。
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