「実現」
Bさん
( 26歳 ) の場合

英語が得意で旅行好きのBさんの学生時代

 中学生のころから英語が得意だったBさんは、大学でも英文科を専攻し、好きな英語の実力を磨き上げていました。
 しかも彼女は、大の旅行好き。
 アルバイトでためたお金を全部つぎ込んで、長い休みのたびに何度も海外に行って、バックパッカーしていたのだから、日常会話は問題ナシ。
 そのうえ、度胸と積極性もしっかりと身についていました。
 そんな彼女にも就職活動の時期がやってきました。
 第一希望はもちろん旅行会社。
  「大学時代につちかった英語力と海外旅行の知識と経験を活かして、バリバリ働きたい。企業研修やOG訪問もがんばって、大手旅行会社を狙おう!」

念願かなって旅行会社に就職したけど、配属は経理課だった

 努力のかいあって、Bさんはみごと大手旅行会社に就職が決まりました。
 でも、彼女が配属されたのは、なんと経理課。
 ツアーコンダクターや旅行プランナーになることが目標だったのに、得意の英語も海外旅行の経験もまったく関係ない部署で、毎日書類とにらめっこ。
 悲しいことに、使われない英語力はどんどん落ちていき、維持するためになんとか夜間の英語学校に通おうとしても、残業が多くてとても通えませんでした。
「自分はいったいどうなってしまうのか、不安と焦る気持ちがつのるばかりだった」と言います。
 たまる一方のストレスに、解消方法は食べることだけ。
「食べることしか楽しみがないなんて。しかも、ストレスと正比例に増え続ける体重。私、このまま太り続けるしかないのかなあ、って悲観的になってばかりいました。」
 そしてBさんは、どんどん精神的に追いつめられていったのです。

3年間ガマンしたものの、ついに転職を決意

 ストレスだらけの毎日で、無駄に時間が過ぎていくのに耐えきれず、彼女は転属願いを上司に提出しますが、実現することなく3年が過ぎました。
 「もう限界って感じでした。仕事は毎日つまらないし、太っている自分がいやで、友達と出かけることも少なくなりました。学生時代のハツラツとしていた自分とは別人みたいで、私に未来はないのかと考えると、最悪な気分でした。」
 Bさんはここで思い切って会社を辞めることを決意します。
 幸い家族も彼女のことを理解してくれました。
「長引く不景気の中、反対するのが当たり前なのに、それどころか早く辞めたほうがいいと賛成してくれている。私の悲惨な3年間を間近に見ていたせいかもしれません。」
 そして、退職したBさんは、気分転換と英語力を取り戻すために、がんばって貯めた150万円の貯金をはたいて留学しようと考えたのです。

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Kさん(25歳)の場合
Bさん(26歳)の場合



平田一二(ひらたつまびらか)

東京生まれ。赤坂小・赤坂中・東海大付属高輪台高卒業、スペインのマラガ国際大学へ留学。' 76年、帰国後に相談室開設。自分の能力や可能性をのばしたいと考える女性のために、≪キャリア留学≫という新しいスタイルを確立して、 先鞭をつけたキャリアコンサルタント。
平成25年10月より下田循環器・腎臓クリニックの相談役に就任する。

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