Kさん ( 25歳 ) の場合

この時点のKさんの状況整理

•  将来の目標を持たないままで語学留学し、目標が見つからないまま帰国してしまっている。そのあとも、自分なりの目標を見つける機会を逃している。
•  英語が活かせることだけにこだわり、短絡的な仕事探しを繰り返している。英語以外の自分の適性能力についてまで考えがおよんでいない。
•  英語力の向上にばかりエネルギーを費やしていて、英語学校で講師をしていても、そこから「何かを得よう」という姿勢が見られない。
•  翻訳というやりたい仕事が決まってはいるが、「英語や文学が好き」という理由からだけで、もっと深く突っこんだ理由がない。そこを明らかにしないまま、さらに英語力と専門分野を習得するために、再び留学しようとしている。

 Kさんの状況を理解した私は、英語に対する思いだけでなく、職業観や志向など、いろいろな質問を投げかけてみることにした。

 平田 「英語に関係のない仕事につこうと思ったことはありませんか?」
 Kさん 「一度もありません。とにかく英語が使えればどんな仕事でもいいと思ってきたし、実際、英語以外にウリがないんです。」
 平田 「英会話学校での仕事は充実していましたか?」
 Kさん 「それほど充実していませんでした。確かに英語が活かせますが、日本人講師はほとんど初心者クラスの担当で、中学程度の英語力しか使わないんです。それに、同じような授業を何度もやるのもむなしいし、達成感が感じられないんです。」

 ここまでのところで、彼女が英語にばかり気を取られていて、それ以外に気持ちが向いていないことが分かったのです。

平田一二の分析

•  つねに、英語を活かすことばかりを考えており、英語を使って働くことだけしか頭にない。だから自分の適性について考えることを一度もしていない。
•  大学を卒業してから、彼女がついた仕事は、どれもアルバイト的なものである。
•  本人は気づいていないが、学生気分が抜けていない。翻訳の専門分野の習得のために、留学を第一候補にしているが、具体的な目標もないまま学生時代に語学留学している彼女に、また留学を勧めることは、前回の二の舞を踏ませることになるかもしれない。
•  英語を基準に思いつくままの仕事探しをしているので、現在一番やりたい翻訳も強い確信から始めたものではない。だから本人の意思がどこまで持続するかが問題。

 英語が得意だと過信していることが問題点の一つです。
 でも、いま彼女から英語を取り上げることは、現実的な解決方法ではありません。
 そこで私は、彼女の中から翻訳家になるための素質をうまく引き出しつつ、専門分野の選定にプラスになるような材料をそろえることにしたのです。

 平田 「あなたが好きなものや興味のあるものを、思いつくままに話してみてください。」
 Kさん 「料理を作ったり、絵を見たりするのが好きです。それから、旅行とインテリアにも興味があります。」
 平田 「それは翻訳の専門分野として成り立ちますから、関心の高いものを一つだけ選びだす必要がありますね。」

 私は彼女に、この4つの分野について、より詳しく語るようにお願いしました。
 そして、彼女が一番興味深くとらえているのが、インテリア関係のことだと分かってきたのです。

最終的なKさんの分析

•  彼女には、一人で時間を費やしたり、一つのものに集中できる学者的要素がある。この点から、「英語や文学が好き」という理由以外にも、翻訳家としての素質があることを認識させることが、今後の自信につながる。
•  得意な英語をきわめようと努力してきたのだから、インテリアについても関心が強まればものになる可能性が高い。
•  語学留学や翻訳養成所など、学校に通って知識を得てから、行動を起こす傾向がある。つまり、身体で覚えるよりも頭で考えて行動するタイプなので、今回も留学という方法がよい。
•  留学するといっても十分な資金がない。でも、不足している資金を自力で貯めることが、彼女に不足している粘り強さを養ういいチャンスになる。

 私は彼女の意志をもう一度確認しました。

 平田 「翻訳という作業は、一人で地道にコツコツと積み上げていくものです。始めた仕事を途中で投げだすことはできませんが、続けられますか?」
 Kさん 「いまは翻訳以外に自分を活かせる道はないと思っています。」

 それから私は、インテリアの仕事がいったいどのようなものであるかを、イメージできていない彼女にアドバイスしました。
 平田 「インテリアの世界では、ヨーロッパに古い伝統がありますが、最近ではアメリカの奇抜なデザインも注目されています。内外のインテリアの専門雑誌にも目を通して、どの国のスタイルを勉強したいのか、自分なりに研修してみてください。」
 Kさん 「さっそく、調べてみます。」

 いま自分がやるべきことが見つかった彼女は、決意を新たにしました。
 こうして、私の相談は、彼女の留学先の学校選択を残すだけになったのです。



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Kさん(25歳)の場合
Bさん(26歳)の場合



平田一二(ひらたつまびらか)

東京生まれ。赤坂小・赤坂中・東海大付属高輪台高卒業、スペインのマラガ国際大学へ留学。' 76年、帰国後に相談室開設。自分の能力や可能性をのばしたいと考える女性のために、≪キャリア留学≫という新しいスタイルを確立して、 先鞭をつけたキャリアコンサルタント。
平成25年10月より下田循環器・腎臓クリニックの相談役に就任する。

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