「再就職」
海外で活動する


 1年間ぐらいヨーロッパやアジアの国々を放浪したり、海外留学したりして帰国。
 とても貴重な経験をしてきたのに、その後の再就職が難しい……。
 本当は海外で身につけた語学力や知識を活かして仕事をしたいのに、やむをえず、アルバイトや派遣で働いている人。
 あるいは、そんな状況になるのが怖くて、なかなか会社をやめてまで海外に飛び出せないという人が多いようです。

 その一方で、海外には行かなくても、大学で学んだ英語力を活かした仕事に就きたいと思いつつ、まったく関係ない仕事をしている、という人もなんと多いことでしょうか。
 そういう人は、自分のやりたいことと現実の折り合いがつかなくて、目指す方向さえも分からなくなってしまっています。
 何となく働いて毎日をやり過ごす。
 今の時代、英語だけ話せてもダメというのが社会の常識ですから、ますます挫折感に陥ってしまいます。

 でも、だからといって、自分が持っている能力と、つちかった経験を捨てるのはもったいないことです。

 Wさんも半年間、アメリカに留学して帰国後は、なかなか就職することができませんでした。
 しかたなく派遣会社に登録して事務の仕事をしていました。
 そんな時、アルバイト情報誌で、あるNGO団体の募集広告に興味を惹かれました。
 もちろん、無給ボランティア員を募集するものでしたが、アジアや中近東などの国々で活躍するチャンスもあります。
 お金では買うことができない貴重な体験ができるかもしれません。
 自分の語学力も活かせて何かの役に立つならと、Wさんはすぐに応募して採用されます。
  日本にいる時の生活費は派遣の仕事で稼ぎ、NGOはライフワークだと割り切れるようになったそうです。

 "英語を使ってバリバリ働く"という、世の中が作った理想の姿にこだわらなければ、語学力や海外での体験と、その知識を活かせる場所はあるのです。
 たとえ意外に思える仕事でも、興味のあることで行動したことは必ず積み重なって、やがてあなたの力になってくれるのです。


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平田一二(ひらたつまびらか)

東京生まれ。赤坂小・赤坂中・東海大付属高輪台高卒業、スペインのマラガ国際大学へ留学。' 76年、帰国後に相談室開設。自分の能力や可能性をのばしたいと考える女性のために、≪キャリア留学≫という新しいスタイルを確立して、 先鞭をつけたキャリアコンサルタント。
平成25年10月より下田循環器・腎臓クリニックの相談役に就任する。

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