「進路」
就職できなかったことが転機


 大学を卒業しても大学院へ進学する、または就職もしないという人は多くなっているようです。
 専門学校に通ったり、国家資格を目指すとか留学したりと、将来の仕事のためにさらに実力をつける道を選んでいる人が増えているからです。
 実際、就職活動をしてもピンとくる会社や仕事が見つからない、すべての就職試験に落ちてしまったなどという人が、それならばもっと専門知識や技術を身に付けて出直そうというケースもよくあります。

 Yさんも、これはといった会社を20社ほど回りましたが、何をやりたいのか分からなかったし、就職試験にも受かりませんでした。
 どうしたものかと思案しているうちに卒業の時期になり、ついに就職浪人になってしまいました。
 でも、遊んでいるわけにはいかず、とりあえず、たまたま見つけたテレビ番組の大道具係りの雑用のアルバイトをして生活費を稼ぎました。

 「その仕事をしているうちに映像の仕事もいいなぁと思って、テレビ番組の製作会社で働いている知人に映像の仕事をやりたいと相談したんです。そしたら、アルバイトの採用面接にとりあえず来てといわれて喜んで行きました。そこで、本気でテレビの仕事をしてみたいが、勤務するのは週に4日で残業はできないといいました。じつはその頃、ヴォーカルでバンド活動もしていて忙しかったんです。そしたら、『それが本気でやりたいという姿勢か。私たちの仕事をバカにしているのか!』と一喝されたんです。その知人はテレビ番組の製作に、生活のすべてを賭けていたんです。そんな人の前で、その人の仕事をバンド活動の合間にしたいと言ったようなもので……。怒るのも当然ですね。」

 そんな知人の怒りを目にしたYさんは、いかに自分の仕事に対する認識が甘かったかを思い知らされます。
 同時に、自分が大事にしているのはバンド活動だということに気づいたそうです。

 そこで、自分も生活のすべてを投げ打ってでも、ヴォーカルという職業にこだわりたいと友人や知人のツテをたどってインディーズのCDを出している音楽会社に、シンガーソングライターとして就職しました。
 給料は大学卒ということを考えると、かなり安い金額。
 でも、そこならずっと好きな音楽に携わっていけるし、インディーズでもCDを出すことができます。
 バンド活動も大いにできる。

 「大学を卒業して就職できなかったことは、自分も両親もかなりショックでしたが、今考えると自分にとってはよかった、というか、なるべくしてこうなったという感じがします。知人は、私が本気で映像の仕事をやりたいと思っていないことを見抜いたんですね。しかも、音楽のほうが大切なんでしょと、気づかせてくれた。彼女に笑われないよう、しっかり職業意識を持ってやっていきたいです。」

 会社に就職できなかったことで、自分の全人格を否定された思いに捕われることがあるでしょうが、そんなことはありません。
 その会社の社風に合わなかっただけかも知れません。
 それよりも、あなたにとって、今が就職の時期ではなくて、他の進路を探るチャンスがある、ということを指しています。
 それに気づけるかどうかで、敗北感に駆られていたことが転機になるのです。


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平田一二(ひらたつまびらか)

東京生まれ。赤坂小・赤坂中・東海大付属高輪台高卒業、スペインのマラガ国際大学へ留学。' 76年、帰国後に相談室開設。自分の能力や可能性をのばしたいと考える女性のために、≪キャリア留学≫という新しいスタイルを確立して、 先鞭をつけたキャリアコンサルタント。
平成25年10月より下田循環器・腎臓クリニックの相談役に就任する。

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