「リストラ」
リストラされたことが転機


 建設会社に勤めていたMさんもこの不況で半数以上の人員を削減するという会社の方針でリストラの対象となってしまいました。
 それまでは国際部に所属し、東南アジアを中心とした海外での資材調達や現地法人との技術交流などでバリバリ働いていたMさん。
 突然仕事がなくなり、何をしていいか、どうしたものか、「頭が真っ白になってしまった」と言います。

 とりあえず、生活のために塾の講師として働くことになります。
 でも、以前から単身赴任などで奥さんとの仲もギクシャクしていた問題が表面化して、離婚という辛い選択もすることになりました。
 ずっと守り続けてきた仕事と家族。
 Mさんは何もかも失ってしまったのです。

 そんなどん底の中でMさんは考えました。
 何もかも失ってしまったけれど、それは逆に自由ということでもある。
 そう考えるとMさんの心には、学生時代に描いていた海外青年協力隊としてボランティア活動をするという夢がわき起こりました。
 学生時代に一人でアフリカなどを旅するなかで、何か技術を身に付けて発展途上国で人の役に立ちたいと考えていたことを思い出したのです。

 「いろいろ悩んで落ち込んで原点に立ち返ったとき、自分が本当にやりたかったことが見えてきたのです。それは、家族がいるからと諦めていた部分でした。それが、身軽な立場になったとき実現できるかも知れない。挑戦してみようと思いました。生来の冒険好きな自分が表れたのでしょう。」

 なんとMさんは、作業療法士の資格を取得するために国立の専門学校に通うことを決めたのです。
 地雷で足を失った人たちの役に立てればということが動機です。
 でも、専門学校に入学するには筆記試験と面接試験に合格しなければなりません。
 Mさんは塾の講師をしながら独学で必死に勉強して入学試験にみごと合格。
 現在、20代の若者が中心の同級生たちとともにアルバイトをしながら学校に通っています。

 「国家試験を受けて作業療法士の資格を取得したら、何年か日本で作業療法士としての経験を積み、ゆくゆくはシニアボランティアとして海外で活動したいです」と、新たな目標を語ります。

 社会的な地位もなく周囲から異色の目で見られることもあるそうです。
 それでも、「自分の選択は間違っていないという自信がある」とMさんは言います。
 ほんとの目指すべき進路が見つかった人間は強くなれるのです。
 Mさんは今、開放感にあふれ楽しくてしかたがない様子です。
 このように人生のどん底と思われる状況が、生涯かけて取り組むテーマや自分の役割を発見する転機となることがあるのです。


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平田一二(ひらたつまびらか)

東京生まれ。赤坂小・赤坂中・東海大付属高輪台高卒業、スペインのマラガ国際大学へ留学。' 76年、帰国後に相談室開設。自分の能力や可能性をのばしたいと考える女性のために、≪キャリア留学≫という新しいスタイルを確立して、 先鞭をつけたキャリアコンサルタント。
平成25年10月より下田循環器・腎臓クリニックの相談役に就任する。

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