「仕事」
学校を中退したことが転機


 専門学校や大学を中退したというと世間的には聞こえが悪いし、就職活動のときも、必ずその理由を寝掘り葉堀り聞かれます。
 そのため、なるべくなら中退はしないほうがいいのですが、それも転機になることがあります。

 Aさんは、家庭の経済的な事情から大学への進学はあきらめました。
 高校を卒業後、出版関係の仕事に進みたかったAさんは、編集者やライターを養成する2年制の専門学校に通います。
 とくに、記事を書いたりする仕事に憧れていましたが、実際の授業は、「雑誌のレイアウトや新聞の段組、写真など幅広いもので、文章を書く授業は非常に少なかった」と言います。
 授業では、どの教科もさらりと教わるだけで、覚えた知識や技術が現場でどう使われているのか、想像することもできませんでした。

 そこでAさんは担任の先生に相談しました。
 すると、「文章は自分で覚えるしかない」と言います。
 しかも、出版社からの求人はもちろん、編集プロダクションなど、Aさんが思い描いている仕事ができる会社からの求人は、その専門学校にはほとんど来ないことを知ります。
 先生と口論の末、Aさんは2年生に進級する前に、この学校をやめることにしました。

 Aさんは学校を中退することが決まって、今後どうしようかと、アルバイト情報誌などを見ていると目に飛び込んできたのが、出版社のアルバイト募集の広告。
 「専門学校に求人は来ないけど、アルバイトでなら出版社で働くことができるということに気づいたのです。そしたら、もう無理して専門学校に通う必要はありません。私は会社員になりたいのではなくて、文章を書く仕事がしたいのだから、アルバイトでも何でもいいんです。とにかく、現場に入って仕事を覚えたい。ただそれだけでした。」

 もちろんアルバイトなので、いきなり記事を書かせてもらえるわけがありません。
 最初はアンケートを集計したり、届け物をしたりという雑用ばかり。
 それでもAさんは、一つでもおおく仕事をして経験を積むようにしました。
 そんな努力の甲斐あって、少しずつ記事を任され、念願の仕事ができるようになったのです。
 今、Aさんは独立してフリーライターとして活躍しています。
 「あのまま専門学校にいたら、こうはなっていなかったと思います。」

 Aさんのように、専門学校や大学の授業に魅力を感じなければ、中退して、実際に自分が働きたい現場に飛び込むという進路もあります。
 そういう場合、中退はまさに転機となります。


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平田一二(ひらたつまびらか)

東京生まれ。赤坂小・赤坂中・東海大付属高輪台高卒業、スペインのマラガ国際大学へ留学。' 76年、帰国後に相談室開設。自分の能力や可能性をのばしたいと考える女性のために、≪キャリア留学≫という新しいスタイルを確立して、 先鞭をつけたキャリアコンサルタント。
平成25年10月より下田循環器・腎臓クリニックの相談役に就任する。

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