「得意」
Y・Hさん(25歳・男性)


自分の適性が分からず、もがき苦しんだ日々

 自分がどんな職業に向いているのか分からなかった彼は、カウンセリングを受けたり、適性テストに挑んだりするなど、自力で適職を見つける努力を試みていたようですが、どうしても納得できる結果が得られず、半ばワラにもすがるような思いで、私を訪ねてきました。

 彼は小学校時代、自分のことを、「人見知りで、大勢の友達と遊ぶことができず、野山や森を探検するのが好きだった」と振り返っています。
 5年生から6年生の間は登校拒否もしていました。
 中学生になってもその傾向は変わらず、2年生、3年生の時にやはり登校拒否をしました。
 高校は通信過程に進みましたが、本来は4年間で終えるべきところを、単位を落として5年で卒業。
 その間、飲食店で皿洗いのアルバイトを1年間続けていました。
 やがてそのアルバイトも辞めたくなったのですが、自分で辞めたいと言うことができず、仮病を使っているうちにクビ同然で辞めるはめになったそうです。

 高校を卒業して、「これではいけない」と思い、半年ほどカウンセリングに通ったり、1年間心理療法の講座を受けたりしています。
 そこで、「自分で考えてもどうにもならないことは、専門知識のある人に頼ったほうがいい」、「勉強は根を詰めてやるほうで、講座の修了テストに合格した時は達成感があった」というように得るものもあったようですが、適職テストや心理テストで、「システムエンジニア、機械作りに向いている」と判定された結果には、もともと数学や物理が好きではないのでまったくピンとくるものがなかったと語っています。
 ちなみにこの時期、自動車教習所にも通いましたが、1ヵ月も経たないうちに嫌で嫌で仕方なくなり、行かなくなっています。

 彼は、適職を探す上で、自分自身の問題点をいくつか考えています。
一つは、「アルバイトなど、新しいことをやる時のことを考えると怖いと思う」ということ。
 そのために何もやらずにいて実体験が伴わない悪循環に陥っています。
 また、「なりたいものをピックアップしても、それについて考えているうちに熱が冷めていく」とも言っています。
 現実的なことを考えていても、どうしても非現実的なことばかりが頭をよぎり、自分が本当に何を求め、何に向き、何をやるべきなのかが見えてこないということなのです。

●セルフスピンドルを通して具体的な興味に出会う

 作業に取り組んだ結果、一番多く集まった記事は<人権と法律>についてでした。
 彼は今まで法律を勉強したことはないのですが、関心は高いように思われました。
 次に多かったのが<女性と結婚>。
 男女の価値観の違いなどに強い興味があると自分でも気づいたようです。
 全体のまとめのレポートでは、「マイノリティーに対する差別をなくしたい」、「強いことの証明になったり、人に頼りにされたりすること、特に権威に憧れている」といったことを挙げていました。
 具体的には自衛隊の訓練教官になりたいという気持ちがあったようです。

 「社会的記事が圧倒的に多く、どうにかしたいと思っているのに自分に影響力がなく、影響を与える方法も知らないのが悔しい。できれば社会的に行使できる立場になりたい」、「指導される側にいるよりも、力をつけたら自分で動きたい」、「経済力は自由を買うために重要だが、仕事が自分の意思の表現や体現であれば素晴らしい」、「権威を媒体として理不尽な事柄に訴えかけたいという思いもある」など、彼なりの考えもかなりまとまってきました。

 さて、集めた見出しと記事は、圧倒的に<人権と法律>に関するものが多く、真の興味は『経営・政策的分野』に決まりました。
 2番目に多く集まった<女性と結婚>についての記事は『福祉・教育的分野』になります。順位の1位と2位の組み合わせから追加になる職種に<自衛官>が該当することを知っ た彼は、ある確信を得て、今、自衛官の採用試験を目指して勉強中です。

* * *

 ほかにも、
 「初めは『え! 何なのこれ?』といった感じでしたが、やって良かった。」
 「読んで感じたことをまとめることは、とても面倒くさかったです。でも、やればできるんだと、自分に自信がつきました。」
 「実りがおおく、結果に満足です。」
 「レポートのサンプルがなければ、もっと苦労していたと思う。」
 「途中で面倒になってやめたけど、平田さんの励ましのおかげで何とかできました。」
 「これから新聞を読むことが楽しみになりました。」
 「予想外の結果でしたが、気持ちがワクワクしています。」
 「自分に自信が持てたことで、一歩踏みだすエネルギーが湧いてきました。」
 「今まで知らなかった自分に気づけて得をしました。」
 「こんなことやってほんとに見つかるのか不安でした。でも、信じてやって良かったです。」
 「平田さんが結果を分析してくれたので、とても助かりました。」

  これからセルフスピンドルをやろうとするあなたも、体験者の声を糧にしながら、自分自身への期待と希望を持って挑んでください。


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平田一二(ひらたつまびらか)

東京生まれ。赤坂小・赤坂中・東海大付属高輪台高卒業、スペインのマラガ国際大学へ留学。' 76年、帰国後に相談室開設。自分の能力や可能性をのばしたいと考える女性のために、≪キャリア留学≫という新しいスタイルを確立して、 先鞭をつけたキャリアコンサルタント。

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