「夢」
Dさん ( 23歳 ) の場合


 現在、編集プロダクションでアルバイトをしているDさん。
 彼女は文房具メーカーの商品企画部に勤務していましたが、短大時代からの編集者になりたい夢があきらめきれずに、会社を退職します。
 そして、自力で出版社や編集プロダクションにアプローチして、いまの職業に就きました。
 近々、やっと社員に昇格する予定です。

就職 ⇒ 編集者への夢を断念して、文房具メーカーに入社

 短大の家政学部に通っていたDさんは、出版社で資料整理のアルバイトをしていました。
 出版の世界を目の当たりにした彼女は、自分も出版社で働くことを夢みるようになったのです。
 「皆さんいつも忙しそうにかけずり回っていて、たいへんな仕事だとわかりました。それ以上にキビキビと働いている姿がカッコよくて、あこがれましたね。自分も編集者になりたいって強く思いました。」
 でも、不況の風に就職活動も厳しさが増すいっぽうです。
 「出版社の新人採用は大卒があたり前で、短大卒の私には、初めから無理な話でした。一度は大学に編入して、チャンスをねらおうとも考えたんですが、経済的な問題で断念しました。」
 さまざまな理由から、出版社に挑戦することを諦めた彼女は、一般企業に対象をうつして就職活動に専念します。
 どうにかやっと、小さな文房具メーカーに就職が内定したのです。

退職 ⇒ やっぱり編集の仕事がしたい!

 文房具メーカーでは、商品企画部門のアシスタント業務を担当。
 「小さなメーカーですし、文房具のことですから、商品企画といっても大それたものではありませんでした。でも、中高生向けのかわいい文房具シリーズやシールを作るのは楽しかった。それに一緒に働いている人とも相性がよく、会社に対する不満はお給料が安いことぐらいでしたね。」
 外からみると、順調な社会人生活を送っているように思われましたが、Dさんの中では再び編集者へのあこがれがよみがえってきたのです。
 「雑誌を読んでいると編集者やライターの欄をみたり、求人広告を見つけると出版社の求人が出ていないか探したり、我ながらバカだなあって……。会社がイヤなわけではないけれど、もう一度自分の夢を実現させたい気持ちがどんどん強くなっていくのがよくわかったんです。編集者として働いている自分のイメージが、頭のなかに広がっていました。」
 どうしても抑えられない感情。
 彼女は約2年間のOL生活に幕を閉じ、編集者への道をさがし始めました。

模索 ⇒ 編集に関われるアルバイト探し

 「編集をやりたい!」という思いだけで会社を辞めたDさんには、まだ明確なプランは立っていませんでした。
 ただ、学歴に対するコンプレックスを抱えていたので、それをカバーするためにマスコミ系の専門学校に通うことを考えたりしていたそうです。
 「学校にかかる費用を自分でだすのはかなり厳しい。勉強のためとはいえ、丸2年もの時間を費やすのがもったいなく思えてきて……。結局、専門学校は諦めました。」
 そこで考えたのは、小さい出版社や編集プロダクションでバイトをすること。
 お給料は少しでもいい。とにかく編集にたずさわることが一番だと思った、と言います。
 「自分には学歴も知識も経験もなく、あるのはガッツだけだったので、突っ走ることにしたんです!」
 突撃作戦に切りかえた彼女が、電話をかけたり、履歴書と志望理由を送った会社は30社以上。
 ところが、どこからも色よい返事がもらえません。
 彼女自身、「やっぱりダメなのか」と思った矢先に、編集プロダクションの一つから連絡が入ったのです。
 欠員がでたので、彼女をアルバイトとして採用するという知らせです。
 「かなりツイていました。タイミングがよかったんですね。神様に感謝したくなるくらい嬉しかった!」
 このときすでに、会社を辞めてから5カ月が経っていました。

転職 ⇒ 編集プロダクションで働きはじめ、夢に一歩近づく

 Dさんが編集の世界に飛びこんでから、4カ月が過ぎました。
 彼女の職場は、おもに女性誌の読み物やPR誌の編集をしている編集プロダクション。
 社員は全部で6名の小さな会社ですが、アットホームな感じが彼女に合っているそうです。
 「いまは、もちろんアルバイト。最初のころはまさに雑用係でしたが、先輩の仕事ぶりをじっくり見せていただけたので、ずいぶん勉強になりました。近ごろは、短いインタビュー記事をまかせてもらえるようになったんです。」
 彼女は、あと3カ月したら社員に昇格する予定です。
 彼女が夢を現実のものにするのも、あと少しです。


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平田一二(ひらたつまびらか)

東京生まれ。赤坂小・赤坂中・東海大付属高輪台高卒業、スペインのマラガ国際大学へ留学。' 76年、帰国後に相談室開設。自分の能力や可能性をのばしたいと考える女性のために、≪キャリア留学≫という新しいスタイルを確立して、 先鞭をつけたキャリアコンサルタント。
平成25年10月より下田循環器・腎臓クリニックの相談役に就任する。

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